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参考4-2 人や物が移動する案

2012.7.8 掲載

PI協議会・PI会議の協議を通じ、国交省による外環建設と代替案との比較は「そう思う」という程度だ
ということが分かりました。将来、日本の人口は減少し超高齢化社会を迎えます。
国の借金も高齢化に伴う費用も増え続ける一方、既存施設の維持・更新費(高速道路を除く)は
今後50年間で200兆円に達します。そのような中で、できるだけ未来世代につけを回さず、
人や物が移動する方法はないか、案を集めてみました。



 

■ 駅から駅へ「地下鉄物流」

地下鉄は、郊外と都心を行き来しています。深夜と日中の乗客が少ない時間帯(10-15時)に、
都心部に発着する宅配便等の軽貨物輸送を行います。都心部における集配車両を削減し、
これによって路上駐車を不要とし、地上の交通の円滑化が図れます。地下鉄による輸送に
一部転換すると32%のCO2排出量削減効果が得られ、将来的に地下鉄施設が貨物輸送に
対応したとすると、転換対象業種・品目においては93%のCO2削減効果が得られます。
しかし、鉄道事業者への委託費支払で物流コストは増える可能性があります。

参考:
河野辰男・浜田誠也「地下鉄を活用した新たな物流システムの可能性に関する調査研究」2003(PDF)、
角直樹・加藤博和・柴原尚希・伊藤圭「都市内物流の輸送手段転換に伴うCO2排出量削減ポテンシャルに関する研究」2011(PDF

社会実験:
札幌市営地下鉄東西線で札幌市・ヤマト運輸・ドーコン(建設コンサル)が共同で地下鉄物流の社会実験を行いました。
1回目の2010年9月は、荷台を押した運搬員が、乗客の安全面に十分配慮しながら地下鉄に乗り込み、荷物の入ったボックスを運びました。
2回目の2011年3月には、地下にデポジットセンターを設置し、地下鉄で運んだ荷物の仕分けを行い、地下街へ配達しました。


 

■ 駅から駅へ「路面電車物流」

 ヤマト運輸と京福電鉄はCO2排出量の削減をテーマに、2011年5月から京都市内で路面電車を使った
宅急便の輸送を始めました。輸送専用の車両を一般の車両に連結し、西院駅で荷物の入った台車を
積み込み、嵐山駅と嵐電嵯峨駅で台車を降ろし、新スリーター(下記参照)で配達します。嵐山周辺は
紅葉などの観光シーズンの交通渋滞が激しく、今回の取り組みで時間通りに配達しやすくなり、
輸送の効率化にもつながります。ヤマト運輸社長は「車両を削減でき、渋滞緩和にも寄与する」、
京福電鉄社長は「全国の私鉄に同様の取り組みが広がると期待している」と話しています。

参考:新スリーター
喜多見ポンポコ会議ホームページ「喜多見のお宝」掲載の「クロネコのリヤカー」

 

■ 都市から都市へ「鉄道・船舶物流」

 輸送機関別のCO2排出量は営業用トラックと比べて鉄道は約1/6、船舶は約1/3、
トラックドライバーの長時間・過労運転や人手不足も深刻です。経済産業省と国土交通省は
荷主と物流事業者の協働によるCO2排出削減プロジェクトを支援しています。しかし、
出荷量の急な増減に対して対応できない、輸送コストが高いといった課題があります。

参考:
経済産業省「モーダルシフト等推進官民協議会 中間取りまとめ」2011.10、全日本建設交運一般労働組合



 

■ 都市から都市へ「新幹線物流」

 東海道新幹線が計画された当初、深夜にコンテナ貨物列車を走らせることが真剣に検討されて
いました。そのために貨物駅用地として確保されたのが、東京は大井埠頭にある現在の
大井運転所、大阪は鳥飼基地に隣接した大阪貨物ターミナル駅。鳥飼基地には現在もその
名残があります。東海道新幹線には貨物を走らせる余裕がありませんが、東北など他の新幹線
については余裕があるので、フリーゲージ車両を使って走らせてはどうかという案もあります。

新幹線便:
マッハ50
が、東京、大阪、仙台、新潟などの都市間で新幹線を利用した当日配送のサービスを実施しています。
バイク、軽四輪などを組み合わせます。新幹線の区間は渋滞の影響を受けないので、
ダイヤの乱れなどがない限り、予定通りの配達が可能です。


 

■ 自宅から勤務先へ「公共交通か自転車」

 4km以内の距離を一人乗りのマイカーで通勤する人が東京都市圏(東京都・神奈川県・
埼玉県・千葉県・茨城県南部)全体で約70万人います。また、東京区部から区部内へ、
一人でマイカーに乗って通勤する人は約24万人もいます。その人達が公共交通や
自転車に転換すると混雑緩和などが期待できます。

参考:
東京都市圏交通計画協議会「東京としけん交通だより vol.14」2003.2
PDF


 

■ 勤務先から打合せへ「公共交通」

 勤務先から打ち合わせ・会議で移動するときの交通手段として、
自動車を利用する割合が東京都市圏全体で約45%を占めています。
このうち約30%(約10万トリップ)は公共交通機関が発達している東京区部
の中での移動です。公共交通へ転換すると大きな効果が期待できます。

参考:
東京都市圏交通計画協議会「東京としけん交通だより vol.14」2003.2(PDF



 

■ 自宅から買物へ「公共交通か自転車」

 4km以内の買物に自動車を利用する人は、東京都市圏全体で約57万トリップあります。
この人達が公共交通や自転車などを積極的に利用すると、大きな効果が期待できます。

参考:
東京都市圏交通計画協議会「東京としけん交通だより vol.14」2003.2(PDF



 

■ より使いやすくする「路線バス」

 巨額の費用を投じなくても、需要に応じて対応しやすいバス。何分で来るか表示されるバス停も
あります。喜多見東地区会館近くにあったように、バス停近くに駐輪場があると便利です。

海外事例:
ベルギーのハッセルト市は、人口68,000人ですが、その他に20万人の通勤者が毎日出入りしています。
債務の増加と交通渋滞に悩んだ市は、街の外周に建設する予定だった三番目の環状道路の計画を取りやめ、
二つある環状道路のうち一つを閉鎖し、そこに木を植え、歩道と自転車道を拡張し、バスの運転回数とサービスを向上させ、
やがて公共交通を無料にしました。1年後、公共交通の利用者が800%増加しました。商店主たちは売上が増加して喜び、
交通事故と、事故の被害者が減少したため、街が活性化しました。バスが無料になったのと同じ日に地方税が減額され、
住民が支払う税金は、10年前よりも少なくなりました。住民が増加して税収が増えたので、税を減額することができたのです。

参考:
CNN報道2000年



 

■ 交通の不便な地域では「乗り合いタクシー」

 利用者それぞれの希望時間帯、乗車場所などの要望に応じて運行する公共交通です。
タクシーの便利さを、バス並みの料金で提供できることが特徴です。電話やインターネットで予約
します。乗り合いなので、ほかにも同じ便に予約した人がいれば道順に回って目的地まで運行し
ます。地方空港でもリムジンバスから乗り合いタクシーの運行に代わるケースが増えてきました。
 千代田区で運行されている乗り合いタクシー「風ぐるま」は、運行ルートに設置された停留所
から乗車し、降りるときは、運行ルート上であれば停留所以外でも降りることができます。


 

■ 自動車にとって不便にする1「歩行者・自転車優先のまちづくり」

 世田谷通りと多摩堤通りの交差点に象徴されるように、これまでのまちづくりは車優先で
歩行者や自転車が冷遇されてきました。自家用車を安易に必要以上に使わないよう、
通過交通が住宅街に入ってきにくいようなまちづくりが必要です。今の喜多見は、
通過交通が入りにくく、歩いて楽しいという点で理想的な街だといえます。また、自転車は
便利で環境にやさしい乗り物ですが、駐輪場が不足していたり、車道を走りにくかったり、
天候に左右されやすかったりします。車線の多い道路は車線を削ってバスと自転車が
一緒に利用する専用車線にする、鉄道の高架下を自転車専用道にしてはいかがでしょうか。

■ 自動車にとって不便にする2「カーシェアリング」

 カーシェアリングは、登録した会員間で車を共同使用するサービスやシステムのことで、
利用する際に、鉄道かバスか車かとコストを比較する意識が働くので、安易な利用を抑制します。
現在、成城にも狛江にもカーシェア・ステーションがありますが、喜多見にないのが残念です。

参考:
カーシェアマップ


■ 自動車にとって不便にする3「駐車違反取り締まり」

 改正道路交通法の施行で2006年6月から民間の駐車監視員による駐車違反の
取り締まりが始まりました。一般道路全体で比較すると、増加傾向だった
渋滞長が、6月以降8〜12%の範囲で毎月渋滞が短縮しました。

参考:
日経新聞2007.3.10


■ 自動車にとって不便にする4「道幅を狭める」

 渋谷区は、激しい渋滞を解消するため、道幅を狭めることにしました。
渋谷駅近くから北側の区役所までを結ぶ公園通り(500m)の幅4.5mずつ2車線について、
中央線を動かして3.5mずつに変え、残った2mに歩道を削って
荷物の積み下ろし優先の有料駐車スペース(最初の10分間は無料)を作り、
それ以外は歩道を広げて花壇などを作りました。

参考:
朝日新聞2002.10.30



 

書籍『公共事業と市民参加』PI外環沿線協議会PI外環沿線会議

  









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