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検証1-6 東京都の主張 「外環を整備し、通過交通を排除します」 2022.7.26 「2.都心環状線の利用交通量」、 「3.都心部の交通渋滞緩和に必要なこと」を追加 出典:東京都広報 2008.2 |
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2012年4月10日、首都高速の再生に関する有識者会議(URL)に 出席した東京都の猪瀬直樹副知事(当時)は、 「首都高速の交通量(中略)、6割が通過交通なんですね。 つまり外環ができれば全く状況が変わってくる」 「6割が入ってくるのですから、外環で逃がす」と発言しています。 また、日本経済新聞は2009年10月26日、 「首都高を走る車の多くが通過するだけという統計もある。 そうした車が東京外環道や一般道などを通るようにすれば、 大きな交通混乱が起きる心配はない」という理由で、 「首都高速を撤去せよ」という記事を掲載しました。 これに対し首都高速道路鰍ェホームページに 見解(PDF)を掲載しています。
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【検証方法】 1.東京都が主張する元データを確認 問題となる上図の根拠について、 同じ図をパンフレットに掲載している国交省の外環事務所に聞くと、 「第25回首都高速道路交通起終点調査」 だと言うので、この報告書をもとに確認しました。 2.都心環状線の利用交通量 2018年6月に外環千葉区間が開通した後、 都心環状線の利用交通量がどのように変化したかを 最新の報告書で確認しました。 3.都心部の交通渋滞緩和に必要なこと 国交省の報告書から読み解きます。 |
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【検証結果】 1.東京都が主張する元データを確認 報告書によれば、首都高を利用する車は1日1,062,585台。 東名高速や中央道のような道路を「都市間高速道路」といい、 相互に行き来する交通量は下表のようになっています。 首都高速道路がいう「5%」は、 この合計である54,642台が全体に占める割合のことです。 東京外環に関連しそうなものを太枠で囲んでみました。 これを合計すると28,855台で、首都高を利用する車のうちの2.7%となります。 東京外環に関連しそうな車は首都高利用の2.7% 一方、国交省や東京都が使うグラフは都心環状線のみを指し、 都心環状線を利用する461,419台の内62%が通過交通だと言っています。 例えば高速3号渋谷線〜都心環状線〜高速4号新宿線という利用も 都心環状線の通過交通に該当します。 外環より都心に近い中央環状新宿線が開通した後も 相変わらず外環の説明に使うということは、 開通効果がなかったということでしょうか。 不適切な表現を使わなくては説明できないほど、 外環の効果は著しく小さい、といえそうです。 出典:首都高速道路公団「第25回首都高速道路交通起終点調査報告書」2002.1 この時点ではまだ中央環状王子線も新宿線も開通していません。 2.都心環状線の利用交通量 都心環状線の利用交通量は減少傾向でしたが、 2018年6月に外環千葉区間が開通した後、増加に転じています。 都心環状線の通過交通量については減少傾向から微減です。 外環千葉区間開通による都心環状線の交通量減少効果は 確認できませんでした。 都心環状線・中央環状線の利用交通量・通過交通量の推移 出典:第24回〜第30回首都高速道路交通起終点調査報告書(平日) の「利用形態別交通量」、横軸は調査回数と調査年月、単位は(台/日) 3.都心部の交通渋滞緩和に必要なこと 国交省の報告書によると、2015年現況交通量と将来交通量を点検したところ、 発生交通量が特に増加すると推計される区域(Bゾーン)が最も多いのは東京都。 分析によると「主に都心3区(千代田、中央、港)及びベイエリア(品川、江東)が 中心となっており、大規模開発計画に基づく開発交通量の増加」と 「人口の増加」が交通量増加の要因だそうです。 都心部の交通渋滞緩和には、 環状道路整備より大規模開発の抑制が必要なようです。 出典:国土交通省道路局企画課道路経済調査室 「新たな道路交通需要推計の適用に関する検討業務報告書」2021.8 2-12頁 掲載頁 |
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