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検証1-4 国交省・東京都の主張
「大気環境が改善されます」


2020.5.14 走行速度を追加


出典:国交省・東京都「東京外かく環状道路(関越道~東名高速)これまでの検討の総括」2005.9(PDF)18頁

 

【検証方法】



1.環状道路整備後の走行速度

使用データ=情報公開請求で入手した文書 掲載頁  

社会システム「H28関東管内道路交通調査分析検討業務 報告書」2017.3、
オリエンタルコンサルタンツ「平成29年度首都圏3環状道路整備効果
検討・検証業務報告書」2018.6



2.外環建設時および供用後維持管理のCO2排出量

簡易的な方法として国立環境研究所の
「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)」を用います。
産業連関表は生産活動の種類によって区分された約400の部門で構成され、
各部門間の経済的なつながりを年間の取引額で表現した行列形式の数表です。
3EIDの環境負荷原単位は、各部門の単位生産活動に伴い直接間接的に発生
する環境負荷量を示した数値であり、部門間の投入と産出の構造を基礎とする
産業連関分析によって算出しています。

使用データ=
関東地方整備局事業評価監視委員会2016.5.19
資料4-2-2 P13の外環事業費(こちら)、
   国立環境研究所「産業連関表による環境負荷原単位データブック
    南斉規介・森⼝祐⼀・東野達「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)」
の「購入者価格基準のグローバル環境負荷原単位」2013.1



3.交通施策ごとのCO2排出量

国土交通省の国土交通政策研究所は、
経済協力開発機構(OECD)の研究プロジェクトの一環として、
「経済成長と交通環境負荷に関する研究会」を設置し、交通基盤の整備
といった各種施策がCO2排出等の環境負荷に与える影響を定量的に
分析できる予測モデル「応用都市経済モデル」を構築し、土地利用の
変化や発生段階からの誘発・開発交通を考慮したシミュレーション
分析を行いました。その分析結果を用います。

 

【検証結果】



1.環状道路整備後の走行速度は低下

入手した報告書によると、2010年度末から2015年度末までに
圏央道の一部や中央環状品川線が整備された①にもかかわらず、
混雑時旅行速度について、高速道路は神奈川県や埼玉県で低下②、
一般道路も東京都、神奈川県、埼玉県はじめ全体的に低下③、
圏央道と並行する国道16号も24.0km/hから21.7km/hへと低下④
していることが分かります。

また、2015年中の救急自動車による現場到着所要時間は
全国平均で8.6分、病院収容所要時間は、全国平均で39.4分となっており、
どちらも延伸傾向にあります⑤。同じデータで1都4県(茨城県、埼玉県、
千葉県、東京都、神奈川県)を見ても同様の傾向となっています。

自動車から排出される二酸化炭素(CO2)、窒素化合物(NOX)、
浮遊粒子状物質(SPM)の量は、自動車の走行速度が高まるにつれ減少する
傾向があるとされ、環状道路の整備によって交通の流れがスムーズになり
走行速度が向上するとともに、走行量が削減されれば、排出ガスの大幅な
削減が期待でき、大気環境が改善されると言われてきましたが、
逆に悪化していることになります。


① 自動車専用道路の変化(2010年度末から2015年度末)


② 都県別混雑時旅行速度の推移(高速道路)


③ 都県別混雑時旅行速度の推移(一般道路)


④ 路線別混雑時旅行速度(一般国道)



⑤ 救急自動車による現場到着所要時間及び病院収容所要時間の推移

出典①~④:
社会システム「H28関東管内道路交通調査分析検討業務 報告書」2017.3、
①52頁、②119頁、③120頁、④150頁、

出典⑤:
オリエンタルコンサルタンツ「平成29年度首都圏3環状道路整備効果検討・検証業務
報告書」2018.6、5-253頁、元の出典は消防庁「平成28年版 救急・救助の現況」2016.12。
現場到着所要時間は119番通報を受けてから現場に到着するまでに要した時間、
病院収容所要時間は119番通報を受けてから病院に収容するまでに要した時間。




2.外環建設時および供用後維持管理のCO2排出量

(1) 建設時

建設費 1兆2638億円×原単位4.486991307t-CO2/百万円=567万660t-CO2
用地費 1826億円×原単位3.497990312t-CO2/百万円= 63万8761t-CO2
間接経費 1227億円×原単位4.486991307t-CO2/百万円=55万554t-CO2

686万t-CO2
(参考:残事業分は578万t-CO2)


(2) 供用後の維持管理

維持管理費 年55億円×原単位1.323715883t-CO2/百万円=7282t-CO2

千t-CO2/年

外環の建設時については、事業費1兆5975億円を
①工事費②用地及補償費③間接経費に分解し、
購入者価格基準で「国内総固定資本形成(公的)」を購入者とし、
①③は「道路関係公共事業」部門の原単位を用いました。
②のうち用地は、地権者が新たに建物を建設すると仮定し、
住宅建築(木造・非木造)および非住宅建築(木造・非木造)
の原単位平均値を用いました。
補償分の排出はゼロではないと思われますが、
用地に畑もあることから補償費分(28,392百万円)を除外しました。
供用後については、
維持修繕費と「道路輸送施設提供」の原単位を用いました。



3.交通施策ごとのCO2排出量

下図は、国土交通省の国土交通政策研究所が東京圏における具体的な
施策についてCO2排出量の推移(無施策との比較)を予測した結果です。
3環状9放射等の道路整備を行った場合にCO2排出量は大幅な増加となり、
鉄道整備、鉄道運賃低減施策は大幅な減少となりました。





出典:山崎清、武藤慎一、上田孝行、助川康「東京圏における応用都市経済モデルの適用」
土木計画学研究発表会・講演集、2005.6(PDF)(URL



 

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