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補足2 地質についての心配

2020.11.29 更新

1.大深度地下の本線トンネル
2.分岐・合流する地中拡幅部


 

1.大深度地下の本線トンネル

外環(関越〜東名)は大深度地下を活用した初めての道路事業であり、高水圧
・土圧下で国内最大の大断面シールドトンネル施工(直径16m)です(*1)。

2020年10月18日に調布市東つつじヶ丘2丁目の市道で陥没が発生しました。
図1は環境影響評価書の地質縦断図、図2は2007年度から2009年度に実施
したボーリング調査結果を追加した地質縦断図、図3は陥没発生の位置、
図4は地中空洞の位置、図5は地下水の状況です。

大深度地下の地質は東名JCTから野川の神明橋あたりまでは北多摩層(Kic、
硬い粘性土)、陥没や空洞は東久留米層のHis(砂)の中に見つかったHig(砂礫)
が、外環の本線トンネルと交錯する場所の上部で発生したように見えます。
環境影響評価書も事後調査の報告も、「道路の存在に係る地盤沈下」「工事の
実施に係る地盤沈下」ともに「建築物の許容最大沈下量20mm以内におさまる」
と評価しています。予測・評価が適切だったのか、検証が必要です。

表1「各地層の透水係数」によれば、同じ東久留米層のHis(砂)でも東名側は
透水性が低く、中央道側は透水性が中位、さらに(*2)によれば「中央JCT南
の地質は固結した粘性土がほとんど介在せず、透水性の高い砂質土層が主」、
(*3)によれば地中拡幅部については「より確実で実績のある凍結工法(凍土)
を採用する」と書かれています。

原因は調査中ということですが、もしもこのHig(砂礫)との交錯により、安定して
いた土や砂が乱れたり緩んだりして不安定な状態になり、地盤変状が生じた
とすれば、この先さらに複雑な地層があり、困難が予想されます。

事業費についても地中拡幅部だけでなく本線トンネルも凍結工法などが必要に
なれば、当初の2倍(2兆3,575億円)となった事業費はさらに増加する可能性が
あります。

*1 関東地方整備局事業評価監視委員会2016.5.19(URL)資料4-2-1 17頁
*2 東京外環トンネル施工等検討委員会
  「地中拡幅部(中央JCT、青梅街道IC)の工法の考え方まとめ」2016.3(PDF
*3 第21回東京外環トンネル施工等検討委員会 資料3
  「中央JCT地中拡幅工事の詳細設計の状況について」2020.7.17(PDF)9頁



図1 東京都『環境影響評価書』2007.3 図9.5.1-8「計画路線沿いの地質縦断図」


図2 関東地整・NEXCO東・NEXCO中『事後調査の報告(事業計画の変更)』2013.3(PDF)図6.4.4-1(1)


図3 陥没発生の位置
出典:第22回東京外環トンネル施工等検討委員会」2020.10.19 資料1(PDF)8頁



図4 地中空洞の位置(中央が陥没位置、右が11/3確認の空洞、左が11/21確認の空洞)
出典:第4回東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会2020.11.27 資料1(PDF)4頁



出典:第22回東京外環トンネル施工等検討委員会 資料1「地表面陥没事象について」2020.10.19(PDF)8頁

表1 東京都『環境影響評価書』2007.3 表9.5.1-14「各地層の透水係数」



図5 地下水の状況/青が浅層地下水の帯水層、水色が深層地下水の帯水層
出典:第8回東京外環地下水検討委員会 資料1「中央JCT地下水流動保全工法について」(PDF)2019.12.6

 

2.分岐・合流する地中拡幅部

(1) 概要

本線と連絡路(ランプ)を地中で分岐・合流させる地中拡幅部は4カ所あり(図6)、
断面が大きく、市街化された地域の地下部での大規模な非開削による切り拡げ
工事となり、世界最大級の難工事(*4)だと言われています。


図6 地中拡幅部の位置
出典:『東京外かく環状道路(関越〜東名)地中拡幅部の都市計画変更素案のあらまし』2014.4(URL


*4 関東地方整備局事業評価監視委員会2016.5.19(URL)資料4-2-1 17,18頁


(2) 経緯

この地中拡幅部に関連する経緯は以下の通りです。技術調査開始後に準備書
公告、調査結果報告翌日に環境影響評価書を送付、環境影響評価書では
地中拡幅部にほとんど触れられず翌月に都市計画変更決定、事業化後にも
技術開発状況アンケートを実施し、さらに都市計画変更決定しています。

2005年 9月 国と東京都が外環についての考え方を公表
    10月 計画概念図を公表
    11月 大深度トンネル技術検討委員会(*5、大深度委)発足
    12月 地中拡幅部について民間等の技術開発状況の調査開始
2006年 6月 都市計画案・環境影響評価準備書を公告
2007年 3月 27日大深度委に地中拡幅部の調査結果を報告
     3月 28日環境影響評価書を送付
     4月 都市計画変更決定(地下方式)
    10月 大深度委はまとめはせず、これを最後に開催していない
     −  2007年度から2009年度にボーリング調査を追加実施
2009年 5月 整備計画決定、事業化
2012年 3月 着工の報告、「事後調査の計画」
     4月 NEXCO東日本とNEXCO中日本に対する有料事業許可
     7月 東京外環トンネル施工等検討委員会(*6、トンネル委)発足
        (地中拡幅部へ適用可能な工法の技術開発状況アンケート実施
2014年 3月 大深度地下使用の認可
     6月 トンネル委「とりまとめ」で地中拡幅部は円形形状を基本とする
2015年 3月 都市計画変更決定(地中拡幅部)
2016年 3月 トンネル委「地中拡幅部の工法の考え方まとめ」(*7)
     5月 関東地整で事業再評価、東名JCT地中拡幅部だけで490億円増加
2020年 7月 関東地整で事業再評価、中央JCT地中拡幅部だけで5360億円増加

トンネル委の考え方まとめ(*7)には「中央JCT南、中央JCT北及び青梅街道IC
の地中拡幅部は、東名JCT部と比較して、地山の透水性が高く、地山の自立性
が低い地盤での施工となるため、より技術的難易度の高い施工が求められる」と
書かれています。事業再評価のたびに事業費が増加しますが、中央JCTと同様
に技術的難易度が高いとされる青梅街道ICについてはまだ計上されていません。

*5 大深度トンネル技術検討委員会(URL)公開で開催
*6 東京外環トンネル施工等検討委員会(URL)*5とほぼ同じ委員、非公開
*7 トンネル委「地中拡幅部(中央JCT・青梅街道IC)の工法の考え方まとめ」(PDF



(3) 構造

地中拡幅部の都市計画は、立体的な範囲が定められています。
2007年の都市計画変更決定当時は曲線パイプルーフ併用NATMによる馬蹄形状
でしたが、2015年に円形形状を基本とする都市計画変更決定がされ、止水領域を
含む断面は約2倍に拡大(図7)、最大断面は東名JCT部の幅98m・高さ54m(図8)、
これらは住宅密集地で地上に住宅がある状態のまま進められます。


図7 地中拡幅部のイメージ
出典:関東地方整備局 事業評価監視委員会2020.7.30 資料5-1-1(PDF)15頁




図8 構造変更した@東名JCT部の位置と断面(出典は図6と同じ)


 

書籍『公共事業と市民参加』PI外環沿線協議会PI外環沿線会議

  









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